顔料と法規制

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色材協会誌 90 巻, 5 号

目次

要旨

 黄鉛、カドミウムレッド、複合酸化物顔料などの無機顔料は、重金属を含有するため様々な法規制の対象となる。有機顔料は、重金属を含有するレーキ顔料や製造工程上より副生するPCBやHCBなどの不純物を含有するため法規制の対象となる場合がある。近年、分析技術の向上とともにこれまで知見のなかった不純物が顔料中から検出される事例が多くなっており、顔料を取り巻く法規制も世界各国で厳しくなりつつある。ここでは顔料に関する最近のトピックスを交えて顔料と法規制の関係について紹介していきたい。

1. はじめに

 近年の世界の化学物質管理政策の流れは、化学物質固有の有害性のみに着目したハザードベース管理から、環境への排出量(曝露量)も踏まえたリスクベース管理へシフトしている。

リスク=有害性(ハザード)×環境排出量(曝露量)

 化学物質の持つハザードの大きさだけで安全性を評価するのではなく、人や環境中の動植物が化学物質にどのくらいさらされているかを加味して安全性を評価する管理法である。平成28年6月1日から施行された改正安衛法では、SDS交付義務のある物質に対してリスクアセスメントが義務化された。化学物質のハザードを特定し代替物質を検討することで有害性を低下することや、設備改善や保護具着用などにより暴露量を低下することは、リスク管理上重要である。

 製品の安全データシート(SDS)は危険有害性情報や組成情報を入手するのに役立つが、0.1%未満のいわゆる不純物を確認するためには、法規制に要求された化学物質を個別に調査しなくてはならない。化学物質調査において非含有保証を要求してくる事例が多くあるが、顔料において不純物の非含有を保証することは不可能である。PCB、HCBのような不純物が非意図的に含有する場合や、製造設備のステンレスから重金属が混入する場合など様々な含有可能性が考えられる。このため顔料メーカーは製品中に対象の化学物質を意図的に使用していないことや、不純物として含有する場合でもリスクが十分低いことを根拠に不使用保証で回答する場合が多い。

2. 化学物質管理の規制

2-1. 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)

 化審法は、難分解性の性状を有し、かつ人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、昭和48年(1973年)に制定された法律である。新規の化学物質の事前審査制度を設けるとともに、ポリ塩化ビフェニル(PCB)と同様、難分解であり高蓄積性を有し、かつ、長期毒性を有する化学物質を特定化学物質(現在の第一種特定化学物質)に指定し、製造、輸入について許可制をとるとともに使用に係る規制を行うこととされた。

 ここでは、顔料と関連が深い第一種特定化学物質のポリ塩化ビフェニル(PCB)とヘキサクロロベンゼン(HCB)について触れたい。

2-1-1. ヘキサクロロベンゼン (HCB)

 TCPA及びソルベントレッド135中の副生HCBに係るBATレベルに関する報告書(平成18 年11 月)及びTCPA由来その他顔料及びフタロシアニン系顔料中の副生HCBに係るBATレベルに関する報告書(平成19年4月)によると、輸入したテトラクロロ無水フタル酸(TCPA)よりHCBの含有が確認された。TCPAの主たる用途は、樹脂等の着色に用いられる染料・顔料や一部の塗料等の原料であり、TCPAを用いて製造されるこれらの染料・顔料等の中にもHCBが含有する。TCPA由来の顔料はPY110、PY138等である。また、PG7、PG36からもHCBの含有が確認されるが、原料として用いられるブルークルードのHCBは非検出であるため、ブルークルードの塩素化の際に副生しているものと考えられる。

 化審法では化学物質を製造する際に副生する第一種特定化学物質についても、可能な限りその生成を抑制するとの観点から、「利用可能な最良の技術」(BAT:Best Available Technology/Techniques)を適用し、第一種特定化学物質を「工業技術的・経済的に可能なレベル」(BATレベル)まで低減すべきとの考えに立っている。これは、前述のリスクベース管理の視点といえよう。

 運用通知「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について」(平成23年3月31日)によると、不純物として含まれる第一種特定化学物質に該当する化学物質の取扱いは、以下の通りとなっている。

 『第一種特定化学物質に該当する化学物質が他の化学物質に副生成物として微量含まれる場合であって、当該副生成物による環境の汚染を通じた人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがなく、その含有割合が工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは、当該副生成物は第一種特定化学物質としては取り扱わないものとする。』

 この運用通知に該当するためには、HCBの「自主管理上限値」と「低減方法」を厚生労働省、経済産業省及び環境省(3省)に書類を提出して説明しなければならない。

【副生するHCB含有量の基準値】

  • TCPA:200ppm
  • TCPA由来顔料(PY138を除く):10ppm
  • PG36:10ppm

2-1-2. ポリ塩化ビフェニル (PCB)

 非意図的にポリ塩化ビフェニルを含有する可能性がある有機顔料について(平成24年2月10日 News Release)によると、化成品工業協会からの報告により、一部の有機顔料が、製造工程において非意図的に生成した微量のポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有することが判明した。PCBを副生することが確認された顔料は、PR2、PR112をはじめPB15、PB15:1、PB15:3、PB76、PG7、PG36、PG58、PO13、PO16、PO34、PR9、PR38、PR242、PR254、PR269、PV23、PY12、PY13、PY14、PY17、PY55、PY81、PY83、PY87、PY93、PY95、PY124、PY130、PY152、PY165、PBr25と多岐に渡る。このうち、50ppmを超えるPCB 含有が確認された製品の製造・輸入は中止された。

 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書(平成28年1月29日)によると、PCBに関してもHCBと同様にBAT及び運用通知の考えが踏襲される。また、「有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価検討会」における検討結果では、50ppmよりも高い濃度においても、製品による健康リスクや、環境汚染を通じた人健康や生態系へのリスクは低いとされていること、有機顔料中に副生するPCBについては、対象となる有機顔料の種類や製造・輸入事業者が多いという特徴がありHCBの水準を示すことは困難であることなどから、BATレベルは50ppm以下が適用される。

 副生第一種特定化学物質を含有する化学物質の取扱いについて(お知らせ)(平成28年3月4日)によると、次の三要件のいずれかを満たす有機顔料を製造又は輸入しようとする場合(既に製造又は輸入している場合も含む)は、副生するPCBの含有量を確認し、あらかじめ3省に、事業者において出荷の是非を判断する基準となる自主管理上限値や分析方法、分析頻度等からなる管理方法について報告し、その妥当性について説明する必要がある。

【三要件】

  • 化学構造に塩素原子を含む顔料
  • 塩素原子を含む原料を使用する顔料
  • 合成工程において塩素化芳香族系の溶媒を用いる顔料

2-2. 化学物質排出把握管理促進法 (化管法)

 平成11年7月13日に制定され事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律である。

 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)制度とは、化学物質の発生から排出までを把握し、集計し、公表する仕組みである。第一種指定化学物質を製造したり使用したりしている事業者は、環境への排出量を大気、水域、土壌に分け、かつ産業廃棄物処理業者に委託して処分している量を届け出る必要がある。また、第一種指定化学物質、第二種指定化学物質に該当する場合は、安全データシート(SDS)により、情報の提供をする必要がある。第一種、第二種指定化学物質は1%以上、特定一種指定化学物質は0.1%以上含有している場合に届出の対象となる。

表2-1. 指定化学物質(顔料関係抜粋)
特定第一種指定化学物質鉛化合物(PR104、PY34など)
ニッケル化合物(PBr34、PG50、PY53、PY150、PY157など)
第一種指定化学物質アンチモン及びその化合物(PBr24、PY53など)
カドミウム及びその化合物(PO20、PR108など)
クロム及び三価クロム化合物(PB36、PBk28、PBk27、PBr24、PBr33、PG17など)
コバルト及びその化合物(PB28、PB36、PBk27、PG26、PG50など)
セレン及びその化合物(PO20、PR108など)
バナジウム化合物(PY184など)
マンガン及びその化合物(PBk26、PBk28、PR48:4など)
モリブデン及びその化合物(PB1、PR81、PR81:4、PV1、PV3など)

2-3. 毒物及び劇物取締法 (毒劇法)

 1950年に制定されたもので、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とした法律である。劇物を取り扱う場合には、劇物の容器に「医薬用外」の文字と白地に赤色の「劇物」の文字を表示する必要がある。また、それらの名称、成分及びその含有量の表示が義務付けられているほか、SDSの添付も義務付けられている。

 毒劇法の対象となる顔料は「鉛化合物」(劇物)の黄鉛(PY34)とクロムバーミリオン(PR104)である。「セレン化合物及びこれを含有する製剤」(毒物)及び「カドミウム化合物」(劇物)に該当していたカドミウムレッド(PR108)やカドミウムオレンジ(PO20)は、「薬食発0619第1号」において「硫黄、カドミウム及びセレンから成る焼結した物質並びにこれを含有する製剤」として除外されることになった。また、「無機シアン化合物及びこれを含有する製剤」(毒物)において「紺青(PB27)及びこれを含有する製剤」は除外されている。

 「アンチモン化合物及びこれを含有する製剤」は劇物に指定されているが酸化アンチモン(Ⅴ)及びこれを含有する製剤を除くとあるため、PY53、PBr24などアンチモンを含有する複合酸化物顔料は除外されると考えられる。「バリウム化合物」(劇物)では、PR48:1、硫酸バリウムが除外されているが、大半のバリウムレーキ顔料は規制対象となることに注意が必要である。「バリウム化合物を含有する製剤」は対象となっていないため、規制対象から除外するためには体質顔料を加えて混合物にするなどの対策が必要である。

2-4. 消防法

 ニトロ基を含有する顔料の一部が、「危険物第五類(自己反応性物質)」の対象となることに注意を要する。危険物から除外するためには、指定された試験を受けて安全性を確認するか、体質顔料を添加して顔料濃度を下げるなどの対策をする必要がある。

 対象となる顔料は、PR3、PR4、PO1、PO5、PY1、PY5、PY73、PY74、PY75などである。

2-5. REACH規則

 人の健康と環境の保護、欧州化学産業の競争力の維持向上などを目的としている。従来の規制においては、規制の導入以後に新たに製造又は上市される新規化学物質は有害性(又はリスク)の評価を事業者が実施することが義務付けられる一方、欧州既存商業化学物質リスト(EINECS)に登録されている既存化学物質についてはリスク評価の実施は主に行政の役割とされていた。REACH規制では、既存化学物質と新規化学物質の扱いをほぼ同等に変更し、これまでは政府が実施していたリスク評価を事業者の義務に変更した。また、サプライチェーンを通じた化学物質の安全性や取扱いに関する情報の共有を強化している。登録対象は、新規化学物質か既存化学物質かを問わず年間の製造・輸入量が、事業者当たり1トンを超えている化学物質である。

2-5-1. REACH規則上の「物質」、「調剤」、「成形品」

 「物質」は、化学物質の顔料に関しては、化学元素、および何らかの製造プロセスを経て得られた化合物と定義される。SDS上で単一物質と表記された顔料などがこれに該当する。「調剤」は、2以上の物質からなる混合物(溶液を含む)と定義される。体質顔料を含む混合顔料や塗料やインクなどの顔料分散体などがこれに該当する。「成形品」は、形状、表面またはデザインが、その化学組成よりも大きく機能を決定する物体(製品、物品)と定義され、塗版や液晶パネルなどが該当する。成形品から意図的に放出される場合や後述する高懸念物質が1wt%を超えて含有する場合は、情報提供の義務が発生する。

2-5-2. 高懸念物質 (Substances of Very High Concern:SVHC)

 REACH規則では、高懸念物質の中から優先順位をつけて認可を必要とする物質を指定し、安全な物質への代替を進める制度を導入した。認可対象物質とするプロセスは、まず、REACH規則57条で規定する有害性の物質から、認可対象候補物質として登録され、この中から認可対象物質を決定し付属書XIVに収載される。SVHCは、以下のような性質を持つ物質の中でECHAが特に注視している物質である。

  1. 一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)
  2. 残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)
  3. 残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)
  4. 上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの(個別に特定)

 SVHCは、使用や上市に際して認可が必要となり、成形品中に0.1wt%を超えて含有する場合は、情報提供の義務が発生する。SVHCとして直接対象となっている顔料は、黄鉛(PY34)とクロムバーミリオン(PR104)である。硫化カドミウムが収載されているためカドミウム系顔料は対象となりうる。Pyrochlore, antimony lead yellow(PY41)も収載されているが、色材としてのサプライヤーは少ないものとみられる。

 不純物としては、一部の染付顔料に含有されているとの報告がある「4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(別名:ミヒラーケトン」や、カーボンブラックに含有しているとの報告がある多環芳香族炭化水素(PAH)のアントラセン、ベンゾ[def]クリセン(ベンゾ[a]ピレン)などには注意が必要である。また、特定芳香族アミン24種(PAA)のうちo-トルイジンなど、複数のアミンが収載されている。

2-5-3. CLP規則 (1272/2008/EC)

 2009年1月20日に発効されたCLP規則は、EUにおける化学品の分類、表示、包装に関する新たな規則であり、これまでのEUの分類、包装、表示システム(指令67/548/EEC、指令1999/45/EC)にGHSを導入し、REACH規則で導入された分類・表示インベントリーを包含したものである。指令67/548/EECは危険物質指令であり、付属書Iには4,000を超える化学物質の危険有害性リストが収載されている。また、指令1999/45/ECは危険調剤指令であり、化学物質の危険有害性を調剤(混合品)の成分濃度別に評価している。CLP規則では、届出の該当化学品をEUで製造、又はEUに輸入する者は、物質ごとに分類・表示の結果を欧州化学品庁(ECHA)に届出る義務がある。

2-6. ELV指令 (2000/53/EC)とRoHS指令 (2002/95/EC)

 ELV指令は、自動車からの廃棄物発生を抑制すること及び廃自動車の環境への影響を軽減することを目的に、2000年に公布された。

表2-2. ELV指令 特定有害物質と閾値
特定有害物質閾値(最大許容濃度)
鉛(Pb)0.1wt%(1000ppm)
水銀(Hg)0.1wt%(1000ppm)
六価クロム(Cr6+)0.1wt%(1000ppm)
カドミウム(Cd)0.01wt%(100ppm)

 RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用をEU加盟国で同じレベルで規制し、電気・電子機器の廃棄物による環境破壊や健康に及ぼす危険を予防することを目的に設定された。2011年7月21日に改正RoHS指令(RoHS2)が施行された。

表2-3. RoHS指令 特定化学物質と閾値
特定有害物質閾値(最大許容濃度)
鉛(Pb)0.1wt%(1000ppm)
水銀(Hg)0.1wt%(1000ppm)
六価クロム(Cr6+)0.1wt%(1000ppm)
カドミウム(Cd)0.01wt%(100ppm)
ポリ臭化ビフェニル(PBB)0.1wt%(1000ppm)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)0.1wt%(1000ppm)
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)0.1wt%(1000ppm)
フタル酸ブチルベンジル(BBP)0.1wt%(1000ppm)
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)0.1wt%(1000ppm)
フタル酸ジイソブチル(DIBP)0.1wt%(1000ppm)

 黄鉛(PY34)、クロムバーミリオン(PR104)やカドミウムレッド(PR108)、カドミウムオレンジ(PO20)などが規制の対象になりうる。また、クロムを含有する複合酸化物顔料(PBr24、PBr33、PG17、PB36、PBk28、PBk27)などは六価クロムの含有が懸念されるため、使用の際には注意が必要である。

2-7. ロッテルダム条約 (PIC条約)とストックホルム条約 (POPs条約)

 PIC条約は、先進国から発展途上国に有害な化学物質や駆除剤が不法に輸出されることを防ぐことを目的としている。規制される化学物質や駆除剤を輸出する場合は、人の健康や環境への有害性・危険性に関するラベルやSDSの添付が求められる。

 POPs条約は、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)から人の健康と環境を保護することを目的としている。環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)等の残留性有機汚染物質の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している。

 両条約ともにPCB、HCBが規制対象となっているため、注意が必要である。

2-8. GADSL (Global Automotive Declarable Substance List)

 GADSLとは、自動車業界で利用されているIMDS(International Material Data System)の申告物質や禁止物質のリストで、以下の通り分類されている。

  • P:すべての用途において禁止
  • D/P:使用目的によっては禁止、その他については申告が要求される
  • D:閾値を超えて使用する場合は申告が要求される
表2-4. 対象物質(顔料関係抜粋)
芳香族アミン(D, ≤0.1%)、溶出バリウム(D, ≤1%)、カドミウム化合物(D/P, ≤0.01%)、六価クロム(D/P, ≤0.1%)、コバルト化合物(D/P, ≤0.1%)、鉛化合物(D/P, ≤0.1%)、ニッケル化合物(D/P, ≤0.1%)、HCB(D/P, ≤BAT)、PCB(P, ≤BAT)、ロジン(D, ≤0.1%)など

2-9. Proposition65

 カリフォルニア州法プロポジション65は、人体へ有害な化学物質が暴露することを防止するめに、飲料水の水源へ有害な化学物質が混入防止すること、人への有害な化学物質を暴露することを防止することを目的として1986年11月にアメリカのカリフォルニア州で施行された法律である。

 発がん性や生殖毒性などに懸念のある1,000種ほど化学物質が収載されており、その一部に「有意なリスクの無いレベル、最大許容量レベル」の値が付与されているのみで「閾値」は存在しない点に注意が必要である。

表2-5. 対象物質(顔料関係抜粋)
芳香族アミン、多環芳香族炭化水素、カドミウム化合物、六価クロム、鉛化合物、ニッケル化合物、HCB、PCB、カーボンブラック、二酸化チタンなど

2-10. MSDSplus

 MSDSplusは、SDSを補完し海外の法規制にも対応した化学物質情報を伝達する資料として広く活用されている。対象となる化学物質は、化審法 (第一種特定化学物質)、安衛法 (製造等禁止物質)、毒劇法(特定毒物)、RoHS指令、ELV指令、CLP [AnnexⅥ Table 3.2 CMRCat.1,2]、REACH AnnexⅩⅦ [除:CLP AnnexⅥ Table 3.2 CMRCat.1,2]、REACH 認可対象候補物質(SVHC)、ESIS PBT [Fulfilled]、GADSL、JIG Aに収載された物質である。管理対象物質リストは6月と12月に定期的に更新されるが、2018年1月頃に最終更新版が公開された後はchemSHERPAへ移行する予定となっている。

3. 労働安全衛生の規制

3-1. 労働基準法

 労働基準法において、業務上の疾病について関連性のある化学物質を厚生労働大臣が定めることとなっている。労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する化学物質及び化合物は、無機の酸及びアルカリ、ハロゲン及びその無機化合物、芳香族化合物など多岐にわたるが、顔料と特に関連が深い金属及びその化合物について以下の表に示す。

表3-1. 金属(セレン及び砒素を含む)及びその化合物(顔料関係抜粋)
アンチモン及びその化合物鉛及びその化合物
カドミウム及びその化合物ニッケル及びその化合物
クロム及びその化合物バナジウム及びその化合物
コバルト及びその化合物マンガン及びその化合物
セレン及びその化合物 

3-2. 労働安全衛生法 (安衛法)

 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境形成を目的とした法律である。顔料と関連が深い最近の法改正を見てみると、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が平成26年6月25日に公布され、化学物質等の譲渡又は提供時の名称等の表示義務の対象物質の拡大、リスクアセスメント等に係る規定の施行に伴う所要の規定の整備等を内容とした労働安全衛生法施行令が平成28年6月1日から施行された。労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる640の化学物質等について、譲渡又は提供する際の容器又は包装へのラベル表示、安全データシート(SDS)の交付及び化学物質等を取り扱う際のリスクアセスメントの3つの対策を講じることが柱となっている。

 この改正によって従来まで表示対象物質であったカドミウム化合物、鉛化合物などに加えて、通知対象物質はすべてラベル表示の対象となった。顔料と特に関連が深い通知対象物質について以下の表に示す。

表3-2. 通知対象物質(顔料関係抜粋)
アンチモン及びその化合物シリカ
カドミウム及びその化合物すず及びその化合物
カーボンブラックセレン及びその化合物
クロム及びその化合物銅及びその化合物
コバルト及びその化合物鉛及びその無機化合物
酸化亜鉛ニッケル及びその化合物
酸化アルミニウムマンガン及びその無機化合物
酸化チタン(IV)モリブデン及びその化合物
酸化鉄ロジン

 ここで注意すべきは、マンガン及びその無機化合物である。酸化マンガンを構造中に含む複合酸化物系顔料(PBk28、PBk26など)は対象となるが、ウォッチングレッド(PR48:4)のような有機顔料は対象とならない。

 平成29年3月1日からは、アルミニウムを含む27物質について、労働安全衛生法施行令別表第9に追加すること等を内容とする政令及び省令が施行される。

3-2-1. 特定化学物質等障害予防規則(特化則)

 化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防することを目的とした規則である。特定化学物質とは、第1類物質、第2類物質及び第3類物質をいう。第1類物質は、がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、特に有害性が高く、製造工程で特に厳重な管理(製造許可)を必要とするものでPCBも含まれる。第2類物質は、がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、第1類物質に該当しないもの、第3類物質は、大量漏えいにより急性中毒を引き起こすものとして分類されている。特別管理物質は、第1類物質と第2類物質のうち、がん原性物質またはその疑いのある物質については特別管理物質としており、名称、注意事項などの掲示の実施や、空気中濃度の測定結果、労働者の作業状況や健康診断記録等を30年間保存することが求められている。

 顔料と関連の深いものは第2類物質で、ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く、粉状のものに限る)、コバルト及びその無機化合物、カドミウム及びその化合物、マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)などが1%を超えて含有する場合に対象となる。複合酸化物系顔料中の酸化マンガンは、一般的に塩基性酸化マンガンとして取り扱っているため、対象除外と考えられている。

表3-3. 特定化学物質 第2類物質(顔料関係抜粋)
特別管理物質ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く、粉状のものに限る)
 (PBr34、PG50、PY53、PY150、PY157など)
コバルト及びその無機化合物(PB28、PB36、PBk27、PG26、PG50など)
オルト-トルイジンなど
カドミウム及びその化合物(PO20、PR108など)
マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)(PR48:4など)

3-2-2. o-トルイジン

 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学物質障害予防規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(基発1130第4号、平成28年11月30日)によると、平成27年に化学工場で複数の労働者(退職者含む)が膀胱がんを発症していることが明らかになり、同事業場に対する災害調査において、労働者がo-トルイジンに経気道のみならず経皮からもばく露していたと示唆された。

 これら一連の調査結果をもとに施行令、規則の一部を改正し、特定化学物質の第2類物質として、o-トルイジン及びこれを含有する製剤等が追加されることとなった。これらは平成29年1月1日から施行される。

 o-トルイジンはジスアゾエロー(PY14)の中間体原料として使用されており、顔料と関連が深い。顔料メーカー各社はこの報告を重く受け止め、早いうちからo-トルイジンの残留調査を開始しているが、規制対象となるような残留量は確認されておらず、健康障害リスクは低いと報告されている。

4. 食品用容器包装の規制

4-1. 食品衛生法

 この法律は食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講じることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする(第1条)。第3章に器具及び容器包装、第4章におもちゃに関する条文がある。

 合成樹脂製の器具又は容器包装の規格では、合成樹脂の種類により試験条件が定められており、カドミウム、鉛、アンチモンなどの溶出試験が行われる。特にポリ塩化ビニリデンにおいてはバリウムの材質試験が設定されており、硫酸バリウムやバリウムレーキ顔料はバリウムの溶出試験において100ppm以下にする必要がある。

 おもちゃに対しても溶出試験が設定されており、おもちゃの種類によって重金属などの試験項目が設定されている。

4-2. 色材業界の自主規制

 印刷インキ工業連合会が制定する自主規制は、「印刷インキに関する自主規制(NL規制)」である。1973年「食品包装材料用印刷インキに関する自主規制(NL規制)」を制定したことに始まった。NL規制物質とは、印刷インキ及びその関連製品の原材料として、意図的に使用することを禁止した物質である。発がん性物質など国内外の規制物質を選定し、印刷インキの原材料への使用を制限している。有機顔料より副生するPCB、HCBなどの不純物は、意図的に使用していないことから規制より外れる。

表4-1. NL規制物質(顔料関係抜粋)
クロム酸及びその塩、コバルト及びその無機化合物、ニッケル化合物、鉛化合物、セレン化合物、カドミウム化合物、アンチモン化合物、水溶性バリウム化合物、ローダミン化合物、メチルバイオレット、PR8、PR22、PR23、PR38など

 ポリオレフィン等衛生協議会が制定する自主基準は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準(PO-PL)」である。PB15やPG7のように物質ごとの登録ではないため、顔料製品一つひとつについて自主基準の適合性を確認する必要がある。適合していれば、確認証明書を取得することができ、その製品には自主基準合格マークを表示できる。

4-3. プラスチック規則 (10/2011/EU:PIM規則) 

 1935/2004/ECは、食品接触材(FCM:Food Contact Materials)を包括的に規定する枠組み規則である。適正製造規範2023/2006/EC(GMP法)、適合宣言書(DoC)の添付、トレーサビリティの実施などについて定められている。

-プラスチック規則10/2011/EUは、プラスチックを用いた複合材料まで対象が拡大され、付属書Iでユニオンリスト(ポジティブリスト)を定めている。着色剤はユニオンリストに含まれていないが除外物質に該当するため、使用可能であるとの認識が一般的である。ただし、枠組み規則1935/2004/ECへの適合を保証するため、非意図的な混入可能性(NIAS:Not Intentionally Added Substances)などについてリスクアセスメントが要求される。

 包装材成分から食品若しくは食品疑似溶媒への特定化学成分の移行上限量はSML(Specific Migration Limit)、印刷物を含む全ての構成材料から食品へ移行した総移行制限量はOML(Overall Migration Limit)と表される。プラスチック材料や製品から1kgの食品や食品疑似溶媒への総化学物質のOMLは60mg/kgと規定されている。化学物質の毒性データによりSML値が収載されるが、特にSML値の規定がない場合は上限値の60mg/kgが適用される。

 PIM第6次修正の新SML(特定移行量制限値)は下記の通り。

  • アルミニウム:1 mg/kg
  • 亜鉛:25 mg/kgから5mg/kgへ変更

 PIM第7次修正の草案では新しくニッケルの制限値(0.02 mg/kg)が謳われている。

表4-2. 付属書Ⅱ 金属原子、芳香族一級アミンの総溶出量
総量規制物質
物質SML mg/kg
バリウム1
コバルト0.05
5
48
リチウム0.6
マンガン0.6
亜鉛25
芳香族一級アミン0.01

4-4. スイス条例

 スイス条例はPIM規則に類似しており、印刷インキ・コーティング剤のポジティブリストと食品用容器包装材のSMLについて規制している。ポジティブリストは付属書Ⅵと付属書ⅠのリストⅠ、Ⅱに収載の物質から構成される。付属書Ⅵは、Ⅰ:モノマー、Ⅱ:染料及び顔料、Ⅲ:溶剤、Ⅳ:添加剤、Ⅴ:光開始剤の項目がある。

 本リストは、Part AとPart Bに分類されており、Part Aは既に化学物質の毒性が既知である物質である。SMLが空欄である物質は全てSMLが60mg/kgである。Part Bは毒性が定かではない物質であるため、SMLは全て0.01mg/kgの検出限界で検出されてはいけない。Part Aは毒性が既知であるから安全であると誤解されやすいが、Part Aのリストはあくまでの毒性が既知であるという意味であり、一部の化学物質のSMLはNDと設定されている。

4-5. FDA (アメリカ食品医薬品局)

 FDAは食品や医薬品、さらに化粧品、医療機器、動物薬、玩具など、消費者が通常の生活を行うに当たって接する機会のある製品について、その許可や違反品の取締りなどを行っている。食品添加物に関する規則はFDA規格と呼ばれており、Title 21, Volume 3, 21CFR178.3297は食品容器包装等の樹脂着色に「使用可能な着色剤」として規定されている。ここに収載された顔料は以下の通りである。

表4-3. 21CFR178.3297 に収載されている顔料等のリスト
PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB28
PBr24、PBk28
PG7、PG17
PO64
PR38、PR57:1、PR177、PR179、PR187、PR202、PR220、PR254
PV19、PV29
PY53、PY95、PY138、PY147、PY180、PY181、PY183、PY191、PY191:1
Carbon black、Iron oxides、Barium sulfate、Calcium carbonate
Titanium dioxide、Zinc oxide、Silica
Aluminum silicate (China clay)、Magnesium silicate (talc)など

4-6. GB9685-2016

 印刷インキ、接着剤、コーティング剤などのポジティブリストを記載している。各物質の移行上限量SML、添加量制限QMなどを定めており、食品容器包装材の溶出試験を義務付けている。

 GB9685-2008に比べて収載されている添加剤の数が増加し、新たにFCA No.が付与されている。着色剤に対する重金属の制限値はSb:0.05%、As:0.01%、Ba:0.01%、Cd:0.01%、Cr(VI):0.1%、Pb:0.01%、Hg:0.005%、Se:0.01%である。不純物の制限値はPCB:25ppm、Total PAA(アニリン換算):500ppmである。

5. 玩具の規制

5-1. EN71 (Safety of toys:玩具の安全性)

 玩具の安全性に関する文書EN71は以下の通り分類されている。

  • Part 1:機械的および物理的性質
  • Part 2:可燃性
  • Part 3:特定元素の移行
  • Part 4:化学および関連活動に関する実験器具
  • Part 5:実験器具以外の化学玩具
  • Part 6:—
  • Part 7:フィンガーペイント-要件および試験方法
  • Part 8:家庭用アクティビティトーイ(活動玩具)
  • Part 9:有機化合物-要求事項
  • Part 10:有機化合物-試料作成及び抽出
  • Part 11:有機化合物-分析方法
  • Part 12:N-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ化可能物質
  • Part 13:嗅覚ボードゲーム、化粧品キット及び味覚 ゲーム

 特定元素の移行を規定するEN71 Part3は、6歳以下の小児用として設計された玩具のうち、なめたり呑み込んだりする可能性のある部品について規定されている。

 EN71 Part 3(1995)からEN71 Part3(2013)へ改定となり、玩具材料がカテゴリⅠ~Ⅲに分類された。

  • カテゴリⅠ:乾燥している,もろい,パウダー状又は柔軟な材料
  • カテゴリⅡ:液体又は粘性のある材料
  • カテゴリⅢ:かきとることができる材料

 また、従来のアンチモン(Sb)・ヒ素(As)・バリウム(Ba)・カドミウム(Cd)・クロム(Cr)・鉛(Pb)・水銀(Hg)・セレン(Se)の8元素から、コバルト(Co)・銅(Cu)・マンガン(Mn)など17元素19項目へ増加しており、それぞれの溶出量限度値が設定された。元素の移行は塩酸による溶出試験によって行われる。

 無機顔料は主成分または不純物として重金属を含有するため、玩具へ使用する際は注意を要する。有機顔料において、バリウムレーキ顔料(PR48:1、PR49:1、PR50:1、PR53:1、PR60:1、B17:1など)はバリウムの溶出、銅フタロシアニンブルーは銅の溶出量などを確認すべきだろう。ただし、EN71は最終製品における溶出試験で結論を出すべきであり、顔料自体の元素含有量だけで使用の可否を判断できない。

表5-1. EN71 Part3 対象金属の溶出量の限度値
限度値の単位:mg/kg
金属元素19項目カテゴリⅠカテゴリⅡカテゴリⅢ
アルミニウム5,6251,40670,000
アンチモン4511.3560
ヒ素3.80.947
バリウム1,50037518,750
ホウ素1,20030015,000
カドミウム1.30.317
三価クロム37.59.4460
六価クロム0.020.0050.2
コバルト10.52.6130
662.51567,700
13.53.4160
マンガン1,20030015,000
水銀7.51.994
ニッケル7518.8930
セレン37.59.4460
ストロンチウム4,5001,12556,000
スズ15,0003,750180,000
有機スズ0.90.212
亜鉛3,75093846,000

6. 特定芳香族アミン(PAA)の規制

6-1. PAAに関する欧州の動き

 AP(89)1は、食品に接触するプラスチック中の着色剤の使用に関する欧州評議会の議決で、着色剤中の重金属と一部有機化合物の含有量の規制値が規定されている。PAAはアニリン換算で測定されるため、顔料中のPAA含有量を直接的に測定できない点で問題がある。

  • Total Aromatic Amines:500ppm
  • Unsulphonated Aromatic Amines:500ppm
  • Benzidine/2-naphthylamine/4-aminobiphenyl:10 ppm

 ドイツ家庭製品規制令は特定のアゾ染料および顔料について、繊維製品など皮膚に直接、長期間接触する製品への使用が禁止された。アゾ染料および顔料から還元的に生成するPAAについて規制している。

  • PAA 20種類:30µg/g以下

 その後、76/769/EECの改正(EU Directive 2002/61/EC)でPAA2種類が追加され22種類となった。

  • PAA 22種類:30µg/g以下

 Oeko-Tex Standard 100は繊維製品の安全性自主基準であり、PAA24種類が規制対象となっている。

  • PAA 24種類:定量下限値20µg/g

 BfR勧告書IX(日用品用途プラスチックの色材に関する規制)は、紙ナプキン中に発がん性のo-アニシジンが検出されたのを契機に法制化された。

  • PAA(疑似食品への移行値):
    • 全PAAsで10ppbの検出限界でN.D.
    • CMR 1A 1Bの個別PAAに関して2ppbの検出限界でN.D.

 PIM規則においても芳香族一級アミンの総溶出量について規定がある。

  • 芳香族一級アミンの総溶出量:SML 0.01mg/kg

6-2. 日本の動向

 平成28年4月1日から家庭用品規制法において特定芳香族アミンの規制が始まった。この規制の対象は繊維製品・革製品の直接肌に接触する部分であり、物質としてはアゾ染料に限定しており、顔料は除外されている点に注意が必要である。

 3-2-2.で述べた通りo-トルイジンに起因する膀胱がん発症の事例があり、PAAの関心が高まっている。PAAは温度やpHなどの分析条件により分析値が変動するため、現在までのところ統一的な分析方法が存在していない。スイスのバーゼルに拠点を構えるETADでは、アニリン換算で測定を行うAP(89)1法の問題点を改善した新たなPAAの分析方法を検討している。ETAD212法と呼ばれるこの分析方法は、顔料メーカー各社の協力のもと最終調整段階に入ったとの報告があった。統一的な分析方法が早期に確立されることを期待したい。

表6-1. 特定芳香族アミン24種
No.成分名CAS No.StructureIARC
14-aminobiphenyl92-67-11
2benzidine92-87-51
34-chloro-o-toluidine95-69-22A
42-naphthylamine91-59-81
5o-aminoazotoluene97-56-32B
65-nitro-o-toluidine99-55-83
74-chloroaniline106-47-82B
82,4-Diaminoanisole615-05-42B
94,4′-diaminodiphenylmethane101-77-92B
103,3′-dichlorobenzidine91-94-12B
113,3′-dimethoxybenzidine119-90-42B
123,3′-dimethylbenzidine119-93-72B
134,4′-methylenedi-o-toluidine838-88-02B
14p-cresidine120-71-82B
154,4′-methylene-bis-(2-chloro-aniline)101-14-41
164,4′-oxydianiline101-80-42B
174,4′-thiodianiline139-65-12B
18o -toluidine95-53-41
192,4-diaminotoluene95-80-72B
202,4,5-trimethylaniline137-17-73
21o-anisidine90-04-02B
224-aminoazobenzene60-09-32B
232,4-xylidine95-68-13
242,6-xylidine87-62-72B
IARC(International Agency for Research on Cancer):国際がん研究機関
記号(1、2A、2B、3):発がん性リスクのグループ分類

参考文献

※顔料を例示する際は、Pigment Blue 15をPB15というように略称で表現している。
 Pigment:P、Red:R、Yellow:Y、Blue:B、Black:Bk、Brown:Brなど。

  • 1)化学物質 規制・管理実務便覧 新日本法規
  • 2)印刷インキに関連する法令知識 改訂第9版 印刷インキ工業連合会
  • 3)印刷インキに関する自主規制(NL規制) 印刷インキ工業連合会
  • 4)NITE 化学物質総合情報提供システム 独立行政法人製品評価技術基盤機構
  • 5)J-Net21ここが知りたいREACH規則 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 6)J-Net21ここが知りたいRoHS指令 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 7)欧州の新たな化学物質規制(REACH規則)に関する解説書 社団法人産業環境管理協会
  • 8)欧州の化学品規則(REACH/CLP)に関する解説書 社団法人産業環境管理協会
  • 9)特定化学物質 Wikipedia
  • 10)消防法 第58回顔料入門講座テキスト
  • 11)ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準(PO-PL)  ポリオレフィン等衛生協議会
  • 12)EN 71(Safety of toys/玩具の安全性)Part 3(2013)について 一般財団法人日本食品分析センター
  • 13)アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)ホームページ
  • 14)POPs条約 経済産業省ホームページ
  • 15)GADSL Reference List 2017
  • 16)January 27, 2017 Proposition 65 List (Excel)Jan 27, 2017
  • 17)TCPA及びソルベントレッド135中の副生HCBに係るBATレベルに関する報告書(平成18 年11 月)
  • 18)TCPA由来その他顔料及びフタロシアニン系顔料中の副生HCBに係るBATレベルに関する報告書(平成19年4月)
  • 19)運用通知「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について」(平成23年3月31日)
  • 20)非意図的にポリ塩化ビフェニルを含有する可能性がある有機顔料について(平成24年2月10日、News Release)
  • 21)有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書(平成28年1月29日)
  • 22)副生第一種特定化学物質を含有する化学物質の取扱いについて(平成28年3月4日、お知らせ)
  • 23)毒物及び劇物指定令の一部改正等について(通知、薬食発0619第1号)
  • 24)労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む)並びに厚生労働大臣が定める疾病を定める件(平成8年3月29日、労働省告示第33号)
  • 25)労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令等の施行について(基発0803第2号)
  • 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学物質障害予防規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(平成28年11月30日、基発1130第4号)
  • 26) 特定芳香族アミンを含有する家庭用品の規制基準に係る調査(伊佐間 和郎、河上 強志、広瀬 明彦)

用語解説

  • BAT
    • Best Available Technology/Techniques、利用可能な最良の技術のことで、工業技術的・経済的に可能なレベルをBATレベルという。
  • FCM
    • Food Contact Materials、食品接触材のこと。
  • PAA
    • Primary Aromatic Amines、芳香族第一アミン類のこと。
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